2013年度対話型日本語教室の振り返り/場所と学習者

山田です。
2013年度の対話型日本語教室について振り返ります。
これは2013年度文化庁委託事業
「生活者としての外国人」のための日本語教育事業のうちの、
プログラムBで企画したもので、企画全体の中心となる日本語教室でした。

実施期間は2013年8月24日〜3月16日(全20回)です。
この記事では実施場所と学習者について振り返ります。


団体がこの実施に会わせて拠点を移した「佐鳴台」という地区は、
浜松市内でも特に外国人が多く暮らす地区のひとつです。
こういった場所に事業期間だけでなく、
継続していつからでも来られる教室があるべきだと考えて拠点を移しました。
実は、2009年に私たちの前身団体が作った
対話型日本語教室「佐鳴台にほんごナイトカフェ」の場所でもあり、
2年半ぶりに帰ってきたことになります。

教室を開催した施設「佐鳴台協働センター」は県営佐鳴湖団地の近くにあり、
団地から親子で歩いて来られる距離にあります。
小中学校からも近く、市民サービスの拠点でもあるので
地区内の人にはよく知られた施設です。

学習者のうち、佐鳴台地区に住んでいる人は約半数でした。
すぐ隣接する地区の人も含めると6割近くで、
この外国人集住地区で開催した効果はあったと思われます。
地域外のかなり遠くから来た2人は、
以前、浜北地区で開催していた教室の学習者でした。
活動を楽しいと感じて遠くからでも来てくれたのは嬉しかったです。

学習者の職業は工場の労働者が圧倒的多数でした。
そのうちの技能実習生は1人だけです。
専業主婦の3人の中では、小さいお子さんがいる人が2人です。
教室開設当初は専業主婦だったけれども、
年末あたりから工場で働くようになったという方は4人いました。
その他は観光ビザなどで一時的に滞在していた人や確認が出来なかった人です。

学習者の男女比では女性が7割近くで、
家事や子育てをしながら働いている女性が多かったです。
対話テーマの設定もそういった人たちに合わせたものでした。
託児係と、別事業で併設していた子ども学習支援・母語支援もあったので、
子どもと一緒に来た人が4割ほどいました。
学習者が暮らす地区内の教室は親子参加ができると助かるはずです。
この点は狙い通りになりました。

学習者の国籍は6カ国で、異なる国の人同士の多文化交流の場になりました。
特にペルーとフィリピンの人が多かったです。
これはスペイン語対応が可能な日本人スタッフと
日本語が堪能なフィリピン人スタッフがいたことが功を奏しました。

教室の外国人スタッフは能力試験N2合格以上、
もしくはそれに相当する力を持った人で
小中学校で外国人の子ども支援をしている人たちにお願いしました。
本団体の平日の日本語教室でいままで学習者としてがんばってきた人たちです。
また、別事業のイベントなどでは日本語能力に関係なく、
幅広い人々にその人の能力を活かして講師をお願いしたりしました(→料理教室)。
母語対応できるスタッフと
外国人スタッフが地域の教室には絶対に必要だと改めて感じました。
こういったスタッフがFacebookの広報面でも大いに活躍してくれました。

各回の外国人の参加者数は残念ながら10人を超えることはありませんでした。
異なり数で31人の方が来たのですが、全20回での平均は6.3人でした。
下のグラフには加えてありませんが、
スタッフではない一般の日本人の見学参加もありました。
地域のNPOで働いている方、県外の大学生です。

結果として参加者数・平均が少なかったことは様々な理由が考えられます。
・帰国した人が3名いた。
・駅中心の教室と違って、広く外部地域から参加者を集めるのは不利だった。
・工場の増産で学習者の仕事が忙しくなり、疲れて来られなくなった人がいた。
・土曜から日曜に開催曜日を移行するようになって来られなくなった人がいた。
・主婦向けのテーマを中心にしたため男性の若い技能実習生には合ない内容だった。
・ブラジル人スタッフの都合がつかなくなり、ブラジル人の呼び込みができなかった。

ただし、教室には来ないものの、
別事業で実施した本団体のパーティーなどには参加する人もいて、
緩やかなつながりは今後も大事にしていきたいと思います。

事業が終われば教室も終わるというのではなく、
今後も教室は続けていきますし、
お花見でもそうでしたが、普段、教室に来ない家族も含めて
教室内外の付き合いが続いていくことを期待しています。


次の記事では活動内容について振り返ってみます。