山田です。
2010年頃から対話活動において
付箋を使って話したことを書き留めて視覚化する試みをしてきました。
これはキーワードカードという名前で呼んできましたが、
会議や参加型学習などではよく使われていることです。
これを対話を中心とした日本語教育に取り入れたのです。

どんぐりでは今まで、話題の中心になっている言葉を
スタッフである対話補助者が「勘」で拾い上げて書いてきたのですが、
その方法はいろいろと分類ができそうだということに気づきました。
その分類を知っておくと、
対話補助者が言葉を拾いやすくなり、
学習者も効果的に言葉を覚えることができるかもしれません。
他にもあるかもしれませんが、
どんぐりでよく使われている方法を7つご紹介します。

①単純に話題の中心になっているもの

見極めには慣れが必要かもしれませんが、
話の内容的に中心になっている単語を選び抜きます。
最もポピュラーな方法です。

②他のグループの人が興味を抱くようなもの

話題の中心になっているものを書く①の発展的なテクニックとして、
あとで情報共有のときに他のグループの人たちが
これはなんだろうと興味を抱くような
それだけでは何の話題が想像できない言葉を
ざわと選んで書くというものです。
これが使えるようになると共有活動をとても活発にすることができます。

③思い出せなかったもの

対話中、学習者がある言葉を思い出せないことがあります。
本人が思い出せなくても手がかりを引き出して
周りの参加者が候補をあげて当てることもよくあります。
そういった言葉を付箋に書いておくと次は忘れないかもしれません。

④個人的に知っておくと今後も使えそうなもの

日常会話では一般には使わないかもしれないことでも、
人によってはどこかで再び話す機会がありそうな言葉はあります。
個人的な経験など、自分の持ちネタのような話に出て来る言葉は、
学習者が日本語では知らない場合も多いので
このことだろうというものを日本人が見極めて書いてあげるといいです。
他に、好きな芸能人やスポーツ選手の名前なども
個人的なことですがその人にとって大事ならばいいと思います。
例:幽体離脱、

⑤発音が違う・不確かなもの

聞き間違えたら特に問題がありそうなものや、
うろ覚えで言い方がはっきりしない言葉などは、
視覚化して同時に発音も示すことで勉強になります。
母語によって間違いやすい傾向にある言葉もあるようです。
ただし、あまりくどくやると嫌気がさしてしまうので、
タイミングや頻度などを考慮する必要があります。

⑥ニュースなどで頻繁に取り上げられているもの

言葉自体は難しくても世間で話題になっている言葉を覚えておくと
いろいろな人と話すときにネタの引き出しが増えるかもしれません。
例:熱中症、原発、

⑦文法的なメモ

文法的に説明が必要なことが出てきたときは、
対話中ならばまずはメモ程度に残して
詳しい説明はあとにするといいと思います。
・単語の切れ目をはっきりさせるとき 例:か-に_さされる
・形の違い 例: