浜松市/行政区ごとの外国人人口と市委託の日本語教室(2020年)

山田です。
浜松市には7つの行政区がありますが、
外国人の人口は行政区ごとにどうなっているでしょうか。
また、その状況に対して市の委託による日本語教室が、
いつどこで実施されているのかを見ていきます。

▼ 行政区ごとの外国人人口

外国人は市の中心である中区に
圧倒的に多く暮らしていることがわかります。
それ以外の区は、市の中心部から遠いほど少なくなっています。

ちなみに、市の委託で日本語教室を実施している
「浜松市外国人学習支援センター(U-ToC)」は、
中区と比べて外国人人口が1/3にも満たず
全体として4位の西区に設置されています。

日本人の人口がどうなっているかも見ておきましょう。
中区に集中しているのは外国人と同様ですが、
中区と天竜区以外の5つの区は、10万人前後と割と均等になっています。

行政区ごとの外国人人口を、
外国人がこれまでに最も多かった2008年と2020現在で比較してみましょう。
中区と東区が大幅に減少しましたが、
その周りの4つの区では小幅な減少になっています。

次に、もっと直感的に外国人人口の分布がわかるように、
区ごとの外国人人口を、
中区を100とした値にして色の濃さで表してみました。
参考までに浜松市外国人学習支援センターの位置も加えてみました。
西区の中でも西、市の中心から遠いことがわかります。

次に、区ごとに総人口に対する外国人の割合が
どうなっているのかを調べてみました。
浜松市全体では3.23%ですが、
割合がいちばん高いのは、中区(4.09%)ではなく南区(4.64%)なのですね。

南区の海沿いにある中田島団地と遠州浜団地は外国人の入居率が高いです。
そういった団地では外国人コミュニティーの中で生活できるので、
日本語がほとんどわからない人もいます。
かつてはブラジル人が多かったこの地区には、
東南アジアの国々から来た人たちも増えています。
ポルトガル語によるお知らせだけでは不十分です。
防潮堤はできましたが、
河川からの遡上津波などの浸水被害はあるかもしれません。
危機的な状況に備え、日本人・外国人が協力しなければいけないでしょう。

<参考:区ごとの人口統計の資料>
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/gyousei/library/1_jinkou-setai/005_kubetsu.html
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/gyousei/library/1_jinkou-setai/documents/setaisu-jinkousu_area_r02-04.pdf

▼ 浜松市外国人学習支援センターの場所・教室開催日時

浜松市では浜松国際交流協会が
市の委託などで日本語教室を実施しています。
その日本語教室は、90年代の南米系の人たちが増加してきた頃から、
中区の浜松駅のすぐ近くで
平日昼・夜、そして土曜の朝にも実施されてきました。

しかし、2010年1月に同協会は、
「浜松市外国人学習支援センター(U-ToC)」を西区雄踏町に開設し、
それからは日本語教室はそこで平日昼間だけの開催になっています。

外国人集住都市に暮らす外国人の多くは、
働くために日本にやって来た人たちです。
平日昼間で市の中心から遠い西区では、
日本語教室に通うことができない人がほとんどではないでしょうか。

外国人の利便性が大きく損なわれたはずですが、
浜松市外国人学習支援センターの日本語教室の実施時間数は
開設後の2010年度にそれまでの約3倍の684時間になったそうです。
(平成28年度日本語教育大会 分科会資料より)。

ちなみに、JR浜松駅から同センターへの交通手段を調べてみました。
県道62号線(雄踏浜松線)を走ると車で10km、
Googleマップでは車で24分となっています。
バスは、所要時間33〜40分で運賃が片道510円です(2020年4月の料金)。

浜松駅からJRで同センターに最寄りの舞阪駅までは片道240円で、
そこから1km歩いて着きます。
その間、コンビニはありません(2020年4月現在)。

一般に、外国人が多く暮らす市町の委託による地域の日本語教室といえば、
働く人のために、土曜か日曜の開催が多いはずです。
浜松市でそのニーズをカバーしてきたのは、
NPOなどの市民ボランティアによる日本語教室です。
そういった教室は市の中心や外国人がアクセスしやすい場所で開催しています。
(市の補助金で運営費の半額を受ける制度を利用している教室もある)

外国人集住都市会議の過去から現在までの参加都市の中で、
市町の国際交流協会が土日に日本語教室を開催していない例や、
市の中心部で日本語教室を開催していない例は、
浜松市の他にあるでしょうか。
これはまた別の記事で調べて書きたいと思います。

▼ 浜松市の外国人市民向けの調査結果

市委託の日本語教室の認知度はどうでしょうか。
2018年12月の浜松市企画調整部国際課による
報告書「浜松市における日本人市民および外国人市民の意識実態調査」では、
浜松市外国人学習支援センターの日本語教室の利用について、
外国人からの回答は以下のような結果になっています。

・利用したことがある:17.6%
・知っているが利用したことはない:23.7%
・知らない:27.4%
・無回答:31.3%

ちなみに、この調査は送付2000のうちの回答460で、回収率は23%です。
その中で同センターの日本語教室に関するこの質問で
最も多いのは、31.3%の「無回答」です。

<参考:浜松市における日本人市民及び外国人市民の意識実態調査結果>
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kokusai/kokusai/ishikichosa.html

▼ 浜松市多文化共生都市ビジョン(案)のパブリックコメント

浜松市は「浜松市多文化共生都市ビジョン」という指針を出しています。
それに先立って市民の意見を聞くパブリックコメントも募集され、
そこでは当然、利用者の利便性を求める要望が出ています。
それについては、こちらの記事をご覧ください。

「第2次浜松市多文化共生都市ビジョン(案)に
 対するパブリックコメントの募集結果発表」
http://tbkdonguri.wp.xdomain.jp/2018/03/13/1167


<もくじ>

・その1…外国人人口の推移
・その2…国籍別に見た人口と割合の変化
・その3…外国人の人口ピラミッド(年齢別人口構成)
・その4…少数派ながら急増中の国々
・その5…行政区ごとの外国人人口と日本語教室の場所 (このページ)