静岡県教育委員会/夜間中学設置に向けたアンケート調査(2020年度)

山田です。
静岡県教育委員会が
夜間中学の設置に向けたアンケート調査を実施するそうです。
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-060/yakanchugaku.html

夜間中学に関する国と静岡県のこれまでの動きを、
元の情報と合わせて簡単にまとめてみました。

▼2016年(平成28年)12月/教育機会確保法が公布

正式名称は「義務教育の段階における
普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」。
公布と同時に施行された夜間中学に関する部分は以下の通り。

1  地方公共団体は、
  夜間等において授業を行う学校における就学の機会の提供等を講ずる
2  都道府県及び区域内の市町村は、
  1の事務の役割分担等を協議する協議会を組織することができる

<同法の概要(htmlリンク)>
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380956.htm

▼2017年(平成29年)3月/国が基本指針を策定

基本指針には、
夜間中学等の設置の促進や多様な生徒の受入れ等の施策について記載。
各都道府県に少なくとも1校は配置することを掲げた部分は以下の通り。

全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学等が設置されるよう、
また、その上で、更に各地方公共団体においてニーズを踏まえた取組が進むよう、
夜間中学等の設置に係るニーズの把握や設置に向けた準備の支援、
法第15条に規定する都道府県及び市町村の役割分担に関する事項の協議等を
行うための協議会の設置・活用、
広報活動などを推進する。

<義務教育の段階における普通教育に相当する
 教育の機会の確保等に関する基本指針」(PDF/156KB)>
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2017/04/17/1384371_1.pdf

▼2018年(平成30年)8月〜/静岡県でのニーズ調査

静岡県で外国人や引きこもり傾向の人らに聞き取り調査を実施。

元情報は県教委のサイトになく、新聞記事は既にリンク切れ。
本サイトで取り上げたときの記事はこちら。↓
http://tbkdonguri.wp.xdomain.jp/2019/05/09/1985

▼2019年(平成31年)2月/静岡県教委の方針表明

県議会2月定例会で夜間中学に関する質問に対し、
教育長が以下の通り答弁。

 次に、夜間中学についてであります。
 平成二十二年の国勢調査によりますと、
小学校に在学したことのない人や卒業していない人の数は
県内で二千五百人を超え、
また近年外国籍の人や不登校の児童生徒が増加しておりますことから
夜間中学への一定のニーズはあるものと考えております。
 県教育委員会では、
平成二十七年度以降他県の夜間中学の
先進的な取り組み事例の研究や政令市を含む
市町教育委員会を対象とした
設置希望に関する調査を行ってまいりました。
さらに今月開催された文部科学省主催の設置推進説明会に参加し
情報収集に努めております。
 また、本年度は具体的なニーズを把握するため、
外国籍の人や不登校・ひきこもり傾向にある人を対象に
面談による聞き取り調査を行いました。
その結果、調査対象者百八人のうち八割以上の人が学び直しを希望し、
六割以上の人が夜間中学への入学を
希望しているという回答が得られました。
このため来年度はこれらの調査研究の結果を踏まえ、
市町と県との役割分担や連携の仕組みなど
具体的な設置のあり方を検討していくこととしております。
 県教育委員会といたしましては、
夜間中学の果たす役割を十分に認識し
市町教育委員会と連携して
県内に住む全ての方々に義務教育の機会を提供することができるよう
積極的に取り組んでまいります。

<静岡県県議会定例会、代表質問に対する教育長の答弁の議事録>
http://www2.pref.shizuoka.jp/all/ggiji.nsf/ffb2b708c352ce3449256854002dd512/5a8eba8050bffe5c4925840a0006dbe4?OpenDocument

▼2020年(令和2年)10月/静岡県教委の調査(←イマココ)

静岡県教委が夜間中学設置の検討のため、
ウェブ上で答えられるアンケートの協力を呼びかけた。

アンケートは、夜間中学を紹介する動画を見た上で答えるもので、
日本語のほかスペイン語、ポルトガル語、中国語、タガログ語、ベトナム語の
5カ国の外国語に対応している。

<静岡県教委/アンケート実施のお知らせ>
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-060/yakanchugaku.html

▼浜松市の不登校の児童生徒数(参考)

夜間中学は止むを得ない事情で不登校でだった人にも、
学び直したいという希望を与えるてくれる場です。

参考までに、浜松市における小中学校の不登校者数の推移を
2012〜2019年度までのグラフにした記事をご覧ください(下記リンクから)。
http://tbkdonguri.wp.xdomain.jp/2020/05/26/3159

ちなみに、浜松市の不登校の児童生徒は、
静岡県内では県庁所在地の静岡市よりも多く、
生徒数に占める不登校者数の割合も全国平均より悪いです。

静岡県で夜間中学を作るならば、
地理的にも、実際の不登校者数から見ても、
最低でも浜松市と静岡市の2校は必要だと思います。

ちなみに、浜松市では来日時期のタイミングのせいで、
母国で中学を卒業していなかったり、日本の中学校に入れなかったり、
中学校で十分に学べなかったりした外国ルーツの人も少なくないはずです。
そういう人たちにも学び直しのチャンスはあるべきです。