令和2年(2020年)4月から実施の「高等教育の修学支援新制度」/定住者でも日系3世は永住の意思確認が必要、家族滞在の子は不可

山田です。
昨日参加した静岡県日本語ボランティアセミナー2020で得た気になる情報について、
出典をたどって自分でも調べてみました。

政府は、2020年4月から
大学や専門学校などで学ぶのにかかる費用を免除・減額したり、
給付型奨学金を拡充することにしました。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

この制度において、日本国籍を持たない=外国人の子について、
気になる点がありました。
概要を説明するところにはなくて、探しにくいウェブ・ページなのですが、
「高等教育の修学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)」というものです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/1409388.htm

この長いページの真ん中ぐらいの
「4-7.国籍・在留資格に関する要件について」を見ると、
Q60で「国籍・在留資格に関する要件について、教えてください。」とあり、
【資料6】というページを開くと、
「新制度における国籍・在留資格に関する要件」というPDFの表を見ることができます。
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/07/02/1418612_06_1.pdf

これを見ると在留資格「定住者」に関しては、
日系3世は申込の可否が「╳(申込できない)」になっています。
しかし、そのすぐ下の欄に「(上記のうち)将来永住する意思があると認められた者」は、
「○(申込できる)」となっています。

つまり、大抵の場合は「申請できる」ということのようなので問題はないのですが、
入管法で就労の制限なく在留を許可されている日系3世ですし、
その多くは日本生まれ・日本育ちの子ではないかなと思います。
ちょっとしたことですけど、
このような「確認」をしないと制度の対象から外すという態度は残念です。
日本で学ぼうという意思があるだけで十分ではないでしょうか。

また、その表では在留資格「家族滞在」である子は、
永住の意思があっても申請できないことになっています。
ネパール・カレー屋さんの子のケースは、私も知っています。
親は単身で「技能」などの在留資格で来日してカレー屋で働き、
経営が安定してから子どもを呼び寄せるケースです。
そうなると、日本では義務教育の半分も受けていない子も多いのではと思います。
(※義務教育の大半を日本で受けていれば、定住者への切り替えができるケースもある)

もちろん、これは「支援」の対象の話なので、
対象外でも家計で頑張って大学などへは行けるのですが、
本国から呼び寄せられた日系人の子と同じように中学・高校を過ごしても、
制度上で差が出てしまうのは、なんとかならないものでしょうか。

その子たちがこれからの日本での就学を手厚く支援されれば、
その後も日本で暮らす=労働・消費・納税してくれる可能性は高くなります。
支援というより、「日本で学んでいただく」ぐらいの待遇でもいいのではないでしょうか。