山田です。
私たちどんぐりの活動は
2008年3月に浜松で始まった対話型日本語教室の流れを汲んでいます。
そこから積極的に改善をしていくために2009年9月に独立した教室を立ち上げ、
2011年2月から更に新しく団体を立ち上げて対話型活動の改良を進めてきました。

今回は初期の頃の時間配分からの変遷を見ていきましょう。
いろいろと試行錯誤を重ねて今に至っていることが分かります。

最も初期の2008年頃の浜松の対話型活動は、構成が非常にシンプルでした。
ファシリテーターによるテーマ提示のあとは、
「じゃあ、〜について話しましょう」という指示で、
そこから1時間ほど対話活動をするというスタイルが多かったです。
その結果、テーマ内容やグループの組み合わせや、
学習者のレベルによっては話を維持するのが難しいという声が
多く聞かれました。

そこで、対話活動をいくつかに分割して変化をつけ、
それぞれの活動の目的を明確にしました。

また、2008年頃は、長い対話活動のあとに「まとめ」の活動として、
その回で話したことを参加者が紙に書いて、
みんなの前で読んで発表するという流れになっていました。
その際、外国人参加者がうまく書けない場合は、
日本人参加者が手伝うのですが、
直してもらった文を外国人参加者がよく分からないまま
棒読みする様子があちこちの教室で見られました。
果たしてそれで学びに繋がるのかという疑問がありました。

そこで、私たちの教室では、
対話活動のあと、すぐに全体での口頭による情報共有に入るようにしました。
ファシリテーターが参加者に話を振って、
何を話したかを改めて話してもらって、みんなで共有するのです。
そのときのポイントは、対話活動で面白かった話題や、
興味深い話題をファシリテーターが見回りながら把握しておき、
それを情報共有のときに、
自然なかたちで引き出すように質問するのです。
外国人参加者も、「そうそう、それはみんなに伝えたい!」という気持ちで、
自然に自分の言葉で伝えようとします。

そのあとで、それをのまとめを紙に書くという流れです。
文は外国人参加者が自分で伝えようとしたことをもとにするので、
手直しは最低限でいいのです。

活動を分けて変化をつけることや、
各テーブルの様子をもとに話を振るなど、
ファシリテーターの役割もよりはっきりと認識されるようになり、
参加型学習という考えのもとで、
対話を補助する仕掛けの工夫も様々なものを考案しました。

メインとなる長い対話活動の中では
話し相手を交替して同じことを話すという方法もあったのですが、
機械的な話し相手の交替は楽しい交流にはそぐわないものでした。
どんぐりの前身教室では付箋と模造紙による対話の記録方法の採用により
グループ間や教室全体での自然な情報共有を可能にしました。
他のグループの人たちが興味を持ったキーワードに印を付けて、
それについてどういう話だったかを本人が話すので、
聞き手と話し手に自然なコミュニケーションの意欲がわくのです。
なんだろう→聞きたい
興味を持ってもらえた→話したい