浜松市/外国人人口などの統計(2021年)

最新2022年の統計情報は、
こちらのリンクからどうぞ。↓【NEW】
http://tbkdonguri.wp.xdomain.jp/2022/07/04/5812

山田です。
多くの方に外国人との共生を意識してもらいたいという思いで、
毎年、外国人が多く暮らす浜松の状況を
一目でわかるグラフや図などにしています。

▼ 目次

▼ 外国人人口の推移

この一年、コロナウイルスの影響で出入国が長い間制限され、
2015年以降、増加傾向にあった外国人人口は、
2021年4月1日現在 25,593人で、
前年と比べて-255人とわずかに減少しています。

ちなみに、浜松市の外国人人口の統計は、
平成の大合併前の市町の外国人人口(下のグラフの黄色い部分)も加えてあります。

近年の外国人人口の推移を、
日本全体、静岡県全体と比べてみました。
2008年はリーマンショックによる外国人の減少前なのですが、
それから日本は130%に外国人が増えていますが、
浜松市は78%と回復していません。静岡県全体よりも低い水準です。
ブラジル人の減少が響いていると思われますが、それは後ほどご紹介します。

▼ 区ごとの外国人人口

浜松市の外国人人口は行政区ごとにばらつきがあります。
中区が突出して多く、次に南区、東区と続きます。
ちなみに、市の日本語教室がある浜松市外国人学習支援センター(U-ToC)は、
外国人がそれほど多いわけでもない4番目の西区にあります。

<参考>
浜松市「区別・町字別世帯数人口一覧表」
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/gyousei/library/1_jinkou-setai/005_kubetsu.html
「行政区別世帯数人口」2021年4月1日(pdf)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/documents/3757/setaisu-jinkousu_area_r03-04.pdf

区ごとの外国人人口について、
中区を 100 としたときの各区の値の比を見てみましょう。
色の濃さでも表してあります。

浜松市の全人口に占める外国人の割合は 3.21% ですが、
各区ごとに調べてみると、偏りがあります。
最も外国人が多い中区は 4.00% ですが、
浜松市外国人学習支援センターがある西区は、市の平均よりも低い 2.73% です。

中区以上に割合が高いのは、4.62% の南区です。
南区の海に近い中田島と遠州浜には
外国人が多く暮らす大きな団地があるため、
同区の外国人割合を大きく引き上げているのだと思われます。

▼ 外国人の子どもが多い学区(2012年と古いので参考程度に)

下の地図は外国人児童が20人以上在籍している小学校の学区を示したものです
(この他にももちろん、少ないながらも外国人が在籍する学区はたくさんあります)。
これらの地区は外国人が集住している地区でもあり(多くは団地がある)、
同国の知り合い同士で助け合って暮らしている人が多いので、
日本人とあまり話すことなく生活できてしまいます。
その結果として、日本語支援が必要な子や
教科学習支援が必要な子が他の地域より多いように思います。

10年、20年後のまちの将来を考え、
親世代・これから親になる世代の日本語教育や
日本人と話す機会を増やす取り組みが、特に必要な地域と言えます。

ちなみに、この情報は2012年とかなり古いものですが、
浜松市外国人学習支援センターが西区にできた頃の2010年に近いものです。
その浜松市外国人学習支援センターの場所も地図中★で示しましたが、
これらの地区を全く無視した位置にあるのがよくわかります。
今はオンライン授業がありますが、拠点はやはり中区にあるべきです。

▼ 静岡県内の市町との比較

県内各市の人口の比較を比較してみました。
浜松市だけが際立って外国人が多いことがわかります。
2番目に多いのが県庁所在地の静岡市ですが、
在留資格の内訳は、浜松市と静岡市では全く異なります。

県内の各市町の総人口に対する外国人の割合を調べてみると、
浜松市は11番目と、それほど高いわけではないことがわかります。
上位に来ている市町は、日本人の人口が少ないところで、
大きな工場などで働く外国人が多いのではないかと思われます。
それにしても、菊川市の 7.46% は、すごい状況ですね。
ちなみに、表にはありませんが、1%未満なのは、
ほとんどが伊豆半島の市町です。
※2021年夏に発表された統計に更新しました。

く参考>
「e-Stat」「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200241&tstat=000001039591&cycle=7&tclass1=000001039601&tclass2val=0

▼ 国籍別の外国人人口

現在の国籍別人口の割合を円グラフで見てみましょう。

国人が最も多かった2008年と比べてみると、こうです。
ブラジル人が最も多いのは変わりないのですが、
2008年当時、6割ほどだったのが4割ほどに減っています。
ベトナム人は、インドシナ難民とその家族などが
1,000人ぐらいでずっと推移してきたのですが、
技能実習生や留学生の受け入れで急激に数を伸ばしてきました。

2008年からの国籍別の人口推移を、
積み重ね棒グラフでも見てみましょう。

ブラジル人だけの変化をわかりやすくするために、
最も多かった2008年のブラジル人人口を 100 として、
その後、その比率がどう変化したかを表したグラフが次です。
ほぼ半減して横ばい状態になっていますが、
周辺の市でも同様なのかが気になります。

ブラジル人以外の上位6カ国の推移を、折れ線グラフで見てみましょう。
ベトナム人の急増は、在留資格では、
主に技能実習生、次いで留学生の増加によるものです。

▼ 少数派ながら増加中の人々

国籍別上位8位以下の国から、
一部の企業による影響かな?という国や減少傾向の国を除くと、
東南アジア、特にベンガル湾沿いの国の人たちが、
まだまだ少数派ではあるものの、増加しています。
ここでは、つぎの6カ国に注目してみました。


少数派の国の人たちの4月1日統計は見つからないので、
ここでは各年の10月1日統計を参考にしています。
コロナの影響で2019〜2020年はさすがにほとんど増えていないのですが、
2012年から比べて2019・2020年は、これら6カ国全体では2倍に増加しています。

個別の国の様子がわかりやすいように、折れ線グラフで見てみましょう。
ネパールの人たちの増加が最も顕著です。
また、国内情勢が不安定なミャンマーの人たちも、
バングラデシュと並び100人を超えてきました。

市内の日本語学校の国籍情報では、これらの国々はそれほど多くはありません。
近年、これらの国から多く来日しているのは、主に技能実習生ではと思います。

<参考>
「令和2年 浜松市の人口」このページの第7表
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/gyousei/library/1_jinkou-setai/008_r02_hamamatsushinojinkou.html

▼ 在留資格

在留資格の割合を見てみましょう。
入管法の改正で1990年代から来日するようになった日系人は、
「定住者」の在留資格を取得して生活してきたのですが、
その後、一定の条件を満たすことで「永住者」に切り替える人が増えています。

静岡県内の他の市とも比較してみましょう。
ここでは身分又は地位に基づく4つの在留資格に注目しています。
やはり浜松市の「永住者」の割合が非常に高いことがわかります。
しかし、永住者への切り替えが増えたのは確かでしょうけれども、
それ以上に定住者がリーマンショック後に大幅に減ったことで、
相対的に永住者の割合が多くなっただけなのかもしれません。

愛知県内の市のデータも参考に載せておきます。

<参考>e-Stat「在留外国人統計(2020年12月)」
このページの「20-12-07-2・市区町村別 在留資格別 在留外国人」のExcelファイル
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250012&tstat=000001018034&cycle=1&year=20200&month=24101212&tclass1=000001060399&tclass2val=0

▼ 年齢別人口構成

人口ピラミッドを日本人と外国人で比べてみると、
全く形が異なることがわかります。

ちなみに、グラフの左右の広がり(横軸)は、
全体に対する各年代の割合(%)にしてあります。
人数ではないので、ご注意ください。

次に、日本人と外国人を
ひとつの人口ピラミッドにるすと、こうなります。
今度は、横軸が人数で、
内側の薄い色が日本人、外側の濃い色が外国人です。

こう見ると、外国人を加えても、
人口ピラミッド全体の形が大きく変わるわけではありません。
20〜50代の働く世代が若干増した程度で、
子どもはそれと比べれば多いようには見えません。

しかし、そんな今現在ですら、外国ルーツの子どもの
日本語指導・教科学習支援は十分とは言えない状況です。
差別だって日常的にあります。
外国人の定住化が進んだ1990年頃から30年も経つのにです。

今後、留学生が日本で就職して家族を呼び寄せたり、
特定技能の家族帯同の範囲が広がっていくならば、
子どもの割合は更に増えていくのでしょう。
今ですら子どもの教育・支援は十分でない状況なのに、
この上どうしたらいいでしょうか。
国、地域、企業、学校、市民みんなが
考えなければいけません。

<参考>
「令和2年 浜松市の人口」
このページの第2表(日本人)、第3表(外国人)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/gyousei/library/1_jinkou-setai/008_r02_hamamatsushinojinkou.html

もっとわかりやすく、
大まかに3つの年齢区分の割合を円グラフにしてみました。
外国人は、働くために来日する人が多いだけに、
20〜64歳の割合が日本人と比べて非常に大きいですが、
高齢者の割合が極端に小さいことがわかります。

子どもの割合は、日本人と外国人で大差がないように見えます。
しかし、技能実習生や単身の留学生を別として、
日系人などの定住者・永住者だけで見れば、
子どもの割合はもっと多いはずです。

次に、外国人だけで、
最も多かった2008年と最新の2020年を比べると、どうでしょう。
縦の棒グラフにして人数の実数で比較します。
働く若い世代が大幅に減っていて、世代ごとに男女差も見られます。

近年、お年寄りの方の人口は増加傾向です。
退職後も日本で暮らし続ける外国人高齢者の孤立や健康、
経済面も気になるところです。

外国人男性は、20代が極端に多いですが、
参考までに、技能実習生の全国統計を見てみましょう。
全国統計でも20代男性の突出ぶりがわかります。

<参考>
外国人技能実習機構「業務統計」(調査年月:2020年3月)
https://www.otit.go.jp/gyoumutoukei_r1/

浜松の外国人女性は、
30代後半から50代が男性よりも多いです。
参考までに、国際結婚の全国統計を見てみましょう。
1989年ぐらいから2006年までずっと国際結婚が増加していて、
そのうち、妻が外国人である組み合わせが約8割でした。
この頃、来日して結婚し定住た女性が多いからでしょうか。

<参考>
厚生労働省「人口動態調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
「婚姻・離婚(P30~36)」のExcelファイルの中の「P32下図」のシート
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/xls/kr30-dl.xls

▼ 目次

▼ 最後に、今回の工夫点

このページのグラフは、
Macのスライド作成アプリ「Keynote」で作成し、
それをpngで画像に書き出して、ページ内に貼り付けています。
思い通りに図やグラフが作れるので重宝しています。

グラフは横縦比 16:9、1024×576 pixel のサイズで作成していて、
クリック/タップすると拡大できるようになっているので、
スマホでは画面を横にして見るのがいいと思います。

グラフ内の文字・数字は、今年から
「ヒラギノUD丸ゴ」というフォントを使っています。
ユニバーサルデザイン(UD)・フォントということで、
小さくても読みやすく、難しい印象を与えないやさしいフォントです。

去年は記事を5ページに分けていたのですが、
今年はグラフを厳選したうえで全て1ページ内に収め、
ページ内でジャンプできる目次のリンクを
最初と最後の2箇所につけました。

これからも見やすくするための工夫を重ねていきます。