磐田の日本語ボランティア研修(2012年度)/どんぐりの活動紹介

山田です。
磐田でのボランティア研修の続きです。
どんぐりは教室紹介に15分、活動手法の紹介に70分も時間を頂くことができました。
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教室紹介では、団体設立から企画立案、可視化を心がけた手法の紹介もしました。
活動の具体的な手法の紹介は、実践を通して体験してもらいました。
実践してみたのは3つの活動です。
いずれも付箋を使う活動で、付箋を使う手法の良さを発揮できるものを選びました。

▼アイスブレイク

どんぐりの教室では雰囲気づくりのためにときどき簡単なゲームをします。
そしてそれが日本語の発話にうまくつなげるように工夫しています。
初参加の人どうしてよくやるのが「私は…で始まる3つの文」というものです。
「私は…」で始まる3つの文を考えてもらい、付箋に1文ずつ書いてもらいます。
ただし、3つの文のうち1つをウソにして、
それをグループのペア同士で「対話を通じて」ウソを見抜くのです。
ひとりで考えて、次にペアで会話して、この日はやりませんでしたが
最後にみんなでなにを言ったかを共有するという流れが作れます。
初めてだったので見たままのことでウソがすぐ分かってしまうものもあったのですが、
ウソを見抜くにはどのような質問をするか、みなさん工夫されていました。
どんぐりの実際の活動例はこちらをご覧下さい。↓
http://tabunkadonguri.sitemix.jp/blog/2011/09/27/958

▼テーマ別対話活動

テーマ「疲れ」
年配の方が多いのかなと思い、テーマ「疲れ」を選びました。
ちょっとした病気自慢は苦労自慢は盛り上がるのです。
研修では予想に反して年齢層がかなりばらけていましたが、
若い方もパソコンで目や肩が疲れるなどの話が出ました。
名札にもつけた個人で色の違うシールを使って、
テーブルの真ん中で大きなしかけを共有することでみんなで話すことができました。
疲れた部位だけに注目するので無理なく単語を覚えられます。
グループ内のひとりにはキーワードの記録をお願いしました。
これだけの仕掛ですが、短い時間で今までの仕事やケガの経験など、
お互いのちょっとしたことを知ることができたことを実感できたと思います。
模造紙にまとめたものをグループ間で交換することで簡単に情報共有することもできました。

どんぐりの実践例はこちらです。↓
http://tabunkadonguri.sitemix.jp/blog/2012/01/10/1275

テーマ「家電と節電」
自分の家にある家電の名前をどんどん付箋に書いてあげてもらいました。
次に、その家電をグループで話し合いながら模造紙に自由に分類して、
更に節電できるものについて、節電方法のアイデアを出し合うという活動です。
これも様々な我が家の工夫をかいま見ることができました。
このように最初にあげた付箋を活用していく手法では、
さいごにできあがるものが成果物として活動の達成感につながります。
家電はカタカナが多いので、学習者ならば「ッ」や「ー」の有無も確認しながらできます。

どんぐりの実践例はこちらです。↓
http://tabunkadonguri.sitemix.jp/blog/2012/02/10/1553


さて、今回の自分の発表を振り返ると
内容はかなりぎゅうぎゅうに詰め込んでいて、
活動方法の説明も不十分だったりと反省点は多々あるのですが、
アバウトに組んだ時間配分は時計と進行をにらめっこしてなんとか守れてよかったです。
活動手法は最初は戸惑いも見られて慣れが必要ではあるなとは思いましたが、
最後にはグループごとのしっかりした成果物ができあがっていました。

私は参加者の活動を見ていてこんなことを感じました。

・参加者が協力して1つのことに取り組めていて、
 グループで活動することの大変さと良さを分かってもらえた。
・短い時間で参加者がお互いの個人的な話を引き出せていた。
・キーワードの分類方法が
 グループによってかなり異なることに参加者が気づけた。
・他のグループで興味アリの☆印が付けられて戻ってきた付箋を見て
 参加者に嬉しそうな様子が見られた。

本来は日本語教室で外国人のみなさんとやる内容ではあるけれど、
世代や仕事も違う人たちが集まり、
お互いのことを話すという体験ができたと思います。
こういう機会って日本人同士でもなかなかありませんよね。
対話の仕掛けはさまざまな人と人をつなぐ助けになるのです。
ぜひ参考にしてもらいたいです。

地域の多文化共生化をめざすうえでは
ひととひとをつなぐ「対話」が重要な鍵を握っています。
磐田国際交流協会がそこに注目して生活者のために複数の日本語教室を市内に展開し、
静岡県国際交流協会との共催で市民のためのこういった研修を企画したことは
全国的にも注目に値するものだと思います。