対話型活動の構成と時間配分/①基本編

山田です。
対話型活動のファシリテーターは
毎回の活動を企画する際に時間配分を考えなくてはいけません。
今回はその典型的なパターンを振り返ってみます。


まず、1回の活動の中に
どのような構成要素が含まれるかを見てみましょう。
今回は基本的な4つだけを取り上げます。

20120918_sequence01 その回で何について話すのかをファシリテーターが紹介します。
ファシリテーター個人の経験や考えを写真などを交えて話し、
参加者はそれを参考にすることで
おしゃべりがしやすくなります。

20120918_sequence02 ファシリテーターから何について話すか指示があり、
それについて参加者がおしゃべりをする活動です。
補助者が対話内容のキーワードを随時付箋に記録し、
最後に参加者が協力してそれを整理します。

20120918_sequence03 対話活動でキーワードの付箋を貼った模造紙を交換し、
グループごとに話したことを
教室にある複数のグループ間や全体で情報共有します。
対話活動が複数に分割されている場合は、
その活動ごとにその直後に情報共有をしていきます。

20120918_sequence04 その回で話したことを単語や文でまとめる活動です。
学習者は模造紙を見ながら
活動内容を思い出して書きます。
必要に応じて若干の日本語指導も行います。


どんぐりの活動は1回が2時間です。
ファシリテーターはテーマや活動内容によって
上記の要素の構成と時間配分を考えます。
計画上の具体的な例を見ていきましょう。


▼対話を分割しないで通しでいく場合

テーマ「私のいままで」の例
20120918_sequence08

対話活動を分割しない活動は今のどんぐりではめったにしません。
長時間テーマに集中できる仕掛けが必要になるからです。
このテーマの場合、1時間ぐらいでも持たせるためには、
参加者に予めテーマを告知しておいて
昔の写真などを持ってきてもらうとかなり盛り上がります。
テーマ提示はファシリテーターの過去の出来事をいくつか紹介して
タイムライン上に付箋を貼るなどのしかけの説明をするので、
若干長めに時間を取ります。
対話が長い分、共有も若干長めに時間を取る必要があります。
実践例はこちらです。
最初に特別な活動を入れたのですがそのあとはこのテーマの典型的な内容です。
2011年12月13日@南部公民館


▼対話を2分割する場合

テーマ「節約」の例
20120918_sequence07

どんぐりでは多くの回で
このように対話を2段階に分けた構成を使っています。
前半で話題の土台を作って後半でそれを発展させるパターンで、
対話が終わったあとに出来上がる成果物が充実したものになります。
テーマ提示では例えば家計の話から入って
そして頑張れば安くできることから節約という言葉へ導きます。
対話活動1は毎月支払っているものの種類をあげてもらうだけなので
若干短めにして共有も模造紙を黒板で見比べて簡単に済ませられます。
対話活動2ではその費目ごとの節約方法を話し合うので
長めに取っておきます。
若干内容が違いますが実践例はこちらです。
2011年06月05日@東部公民館


▼対話を3分割する場合

テーマ「学校」の例
20120918_sequence09

3部構成は珍しくはありませんが、時間管理の切り盛りが少し大変です。
テーマ提示で各国の学校のシステムの違いを
学習者に前に出てきてもらって比較するので若干長く取ります。
対話活動1では小中学校で何を勉強するか科目をあげてもらい、
好き嫌いについて赤/青のシールを貼りながら話してもらいます。
対話活動2では自分の学校時代のことを話してもらいます。
先生や休み時間のことなど割と自由に話すので少し長く時間を取ります。
活動3では今の子どもたちの学校のことについて話します。
自分の子どもが困っていることや世間で話題になっていることなどが
話題にあがるかと思います。
実際は短い指示をいくつも出してもっと複雑な構成にもなりましたが、
実践例はこちらです。
2012年01月20日@県居公民館


これらは計画上の例であって、
実際は開始が遅れたり活動が長引いたり、
または盛り上がりに欠けて早めに次へ進む必要も出てきます。
そんなときはファシリテーターは時間をうまく調整して軌道修正します。
その技もいくつかあるのですが、それはまた別の記事で書きます。
とっさのアイデアで計画にない活動を入れたこともたまにありました。

次回は基本的な4つの構成要素以外の活動を入れた場合をご紹介します。
http://tbkdonguri.wp.xdomain.jp/2012/09/19/463