ムスリムの子ども/イスラム教の勉強をするために母国へ数年行って、また日本に戻ってくる子が抱える問題

山田です。
2019年から、ムスリムの子どもの学習支援を
する機会が増えてきたのですが、
支援をすることになった子の多くには、共通する問題があります。

日本生まれのムスリムの子が、
日本の小学校に入る前や在学中、また中学に上がるタイミングで、
イスラム教の勉強を徹底的にするために、
数年間、母国へ帰って、それからまた日本に戻ってきて、
日本の学校の教科の勉強に追いつくために大変な苦労するという問題です。

母国との「往復」で学力の問題を抱えてしまうのは、
南米の子どもにも、昔はときどき見られたことですが、
近年は定住化が進んでそれは少なくなりましたし、
帰った子が母国で(勉強でも精神的にも)苦労はしつつも、
通常の教育課程から全く離れてしまうことは希だったと思います。

しかし、ムスリムの子の場合、
母国で宗教の勉強の学校に入ると、
それ以外の教科学習がごく限られたものしかないそうなので、
日本に戻って来たのが高校生年齢になってからの子の場合、
勉強が足りないのはもちろん、
日本の高校に進学したくても、
高校進学に必要な海外での教育課程の年数に
イスラムの学校がカウントされないというケースもあります。

それでも、日本で大学まで行きたいという子もいて、
そのためには、日本の中学卒業程度の学力に追いつく努力をし、
高校は通信制にするか、塾などで学んで高校卒業程度の学力をつけ、
大学進学をめざすか…など、かなりハードな道のりになります。

他にも、小学校4年の頃に日本に戻ってきて、
それから中学まで学力不振のままだった子や、
中学に入る前に母国へ行ったものの、
国内情勢が不安定で途中帰国し、
学力が追いつくのが比較的早かった子などもいます。
それでも、1〜2年の遅れを取り戻すのだって大変です。

ムスリムの社会は、
日本でも横のつながりが非常に強いと感じます。
こういった問題にどう対処できるのか、
できれば、日本人も含めて親世代で話し合ってほしいものです。
子どもが数年間帰国するにしても、
進学のために避けるべきタイミングがあることは、共有してほしいです。

できることなら、日本の学校と並行して、
夕方から通う塾のようなものでできないものでしょうかねぇ。
でも、日本だと誘惑が多いので、
邪念が入って修行にならないかもしれません…。