日本語教育の参照枠(一次報告(案))/日本語教育小委員会で審議中

山田です。
2020年6月25日の日本語教育小委員会で、
「日本語教育の参照枠」一次報告(案)について話し合われました。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_101/92329601.html

このときの資料2が、
「「日本語教育の参照枠」一次報告(案)」です。(PDF:5MB)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_101/pdf/92329601_02.pdf

この案について、
文化庁では国民からの意見も募集しています(2020年7月1日〜8月3日)。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/ikenboshu/nihongokyoiku_sanshowaku/index.html

ヨーロッパでは、言語の枠や国境を越えて、
外国語の運用能力を同一の基準で測る枠組みとして
「CEFR」(ヨーロッパ言語参照枠)が2001年に公開され、
活用されています。

CEFRを参考にしたものとして、
国際交流基金による「JF日本語教育スタンダード」というものも
2010年に既に正式に公開されているのですが、
これを更に改良・増補していくのではなく(その理由が知りたいのですが…)、
改めて国として統一的なものを作ろうということになったようです。

今回の報告(案)は、このようなものだそうです。本部から引用します。

本報告(案)は,国内外を行き来する多様な日本語学習者及び
日本語教師をはじめとする全ての日本語教育関係者が
参照することにより,
生活,就労,留学といった外国人の活動状況に応じた
日本語教育の基準や目標を定めることが容易になるよう,
学習,教授,評価に係る日本語教育の
包括的な枠組みを示すことを提言するものです。

(「日本語教育の参照枠」一次報告(案)/はじめに」より)

こういったしくみの必要性は、
日本語教育小委員会で随分前から課題整理の論点の中にありました。
2013年10月21日の第56回議事次第のページから、
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_56/gijishidai.html
資料3「各論点における意見等について」(PDF:492KB)の中の、
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_56/pdf/siryo_3.pdf
6ページ「(2)日本語教育の内容及び方法について」を見ると、
どのような意見が上がっていたか、背景を知ることができます。

そして、重要なのは、こういったしくみの整備が、
2019年6月28日に成立した「日本語教育の推進に関する法律」で
定められた内容に従ったものでもあるということです。

国は、日本語教育を受ける者の日本語能力に応じた
効果的かつ適切な教育が行われるよう、
教育課程の編成に係る指針の策定、
指導方法及び教材の開発及び普及並びに
その支援その他の必要な施策を 講ずるものとする

(「日本語教育の推進に関する法律」二十二条より)

形だけの法ではなく、政府、自治体でも、
具体的な基本方針の策定が一層進んでいます。

ところで、この記事のアイキャッチ画像は、
「日本語教育の参照枠がどのようなものになるのか
わくわくしている山椒魚」のイメージです…

日本語教育の参照枠