キューバアジアの家日本語教室 Vol.3 夏季特別講義?!

¡Hola! キューバから近藤です。

常夏キューバですが、8月は1年のうちで一番暑く、道ゆく人と挨拶がわりに「¡Qué calor! 暑いねー」と言うのは日本と同じです。ですが、ハバナで最高気温32度ぐらい、最低気温は25度以下まで下がって夜は比較的過ごしやすく、生命に危険をきたす最近の日本の酷暑のようなことありません。とはいえ当然夏は学校も長期の休みとなり、労働者も交代で2週間ぐらいの休暇をとるので、誰もがバケーション気分。ゆえにこの時期、キューバ人との仕事や役所の手続きなんかは、さっぱり捗りません。(ビーチの写真:ハバナっこ御用達のビーチ!)

日本語教室も7月学校が夏休みに入ったあたりから出席率も下がり、若干だらけモードに・・・娯楽が少ないキューバでたとえ他にすることがなくても、どこかへ出かけることがなくても、休みはやすみ、日本語の勉強なんかしたくない人が大半で、というか勉強しようなんてこれっぽっちも思ってないのがアリアリだったので、8月の授業はナシにして何らかのアクティビティーを行うことにしました。来ても来なくてもよし、彼氏や彼女、お父さんお母さんの同伴も可、ゆるーくやろうと。

そして迎えた8月6日、ちょうど広島の原爆記念日。キューバでは日本が世界で唯一の被曝国であること、原爆が落とされたヒロシマやナガサキの名も非常によく知られています。この辺のことは父親が広島で被曝している私の個人的な思い入れもあって、過去にも書きました。

ヒロシマ、ナガサキ、そしてキューバ
https://onlyone.travel/amoaq/hiroshima-nagasaki-cuba/

日本語教室で取り上げるには、あまりに暗くて悲しいネタなので深く突っ込むのはやめて、チラッとヒロシマや戦争のことを触れつつ誰もが興味を持てるような活動ができたら、と思いました。(写真:アジアの家博物館の入り口には、広島で被爆した石を彫刻した仏様の像があります。)

そこで注目したのが、若い生徒たちの共通の趣味であるアニメ。日本のつらい過去、戦争体験を題材にした作品はか数多くありますが、これらのアニメを見て日本のそうした時代について知り、学ぶことも「戦争を語り継ぐ」ひとつの手段といえます。私のクラスの生徒たちに尋ねてみたところ映画『火垂るの墓』を見たことがある生徒が多く、悲しいお話だけど良かった、ジブリ作品の中で一番好き、といった意見が聞かれました。

うーん、ちょっと意外・・・

だったのですが、せっかくなのでこの『火垂るの墓』をピックアップして、戦争や戦争孤児といった物語の本筋に関わることだけでなく、描かれている時代、神戸の街、関西弁、日本の夏の風景、サクマドロップそしてホタルなどについて、映画の場面も見せながらお話しました。できるだけ「やさしい日本語」をつかって解説するつもりだったのですが、理解してもらいたい気持ちの方が先走って、後半はほぼスペイン語になってしまったのは反省です。(写真:火垂るの墓、泣けます・・・)

それから後半のアクティビティーとして、「おりがみで鶴をつくる」ことにしました。広島平和公園にある少女の像のモデルでもある佐々木貞子さんの千羽鶴の話は、キューバでも短いドキュメンタリーが何度もTVで放映されたりして、知っている人もたくさんいます。過去、戦争の被害者となった人たち、そして今、どこかで起こっている戦争で辛い思いをしている人たちへの慰めと、ありきたりだけど世界の平和を願って鶴を折る・・・

とキレイに持っていきたかったのですが、折り紙を配った途端に気分は Origami モード、すぐにワイワイ「どうやって作んの?」「こーじゃない?」と人の話を聞くどころではなくなってしまいました。(写真:折り紙初体験の人もいたけど、みんな自分のツルを完成)

「しまった〜!話が終わってから紙配ればよかった」

と思った時にはすでに遅し。もうみんな好き勝手に始めていました。そして折り始めてみたはいいけれど、キューバ人って不器用で短気、全然折り紙向きじゃない人が多く・・・途中で放棄しそうになった人もいて大変でしたがなんとか無事、全員が鶴を完成することができました。(写真:みなさんの平和を願う気持ちが届きますように!)

夏の日本語教室、特別講義。なかなか好評でしたよ。