「パディントン」と韓国語の音節末鼻音

山田です。
浜松市美術館で「くまのパディントン展」を見てきました。
パディントンは世界の国々で親しまれている絵本ですが、
たくさんの翻訳本の中に韓国語版も展示されていました。

その韓国語版の表紙で、
「パディントン」はハングルで「패딩턴」となっていました。
IPAだと、[pʰɛdiŋtʰon]となるのでしょうか。

パディントンは英語表記(イギリスの駅名が名前の由来)で
「Paddington」と書き、/ŋ/、/n/の音節末鼻音を含んでいます。
しかし、日本語では音節末鼻音が音素として一つしかなく、
英語の音節末鼻音の/ŋ/や/n/に相当する音の意識的な区別はありません。
文字でも音節末鼻音は区別なく「ン」で表し「パディントン」と書きますが、
実際の発音は、環境によって無意識に違う発音の「ン」になっています。

一方、韓国語では音節末に来る鼻音は、
音素として英語と同様に/m/、/n/、/ŋ/の3種類を区別します。

だから、「Paddington」の
「ding」は「딩=/diŋ/」で音節末鼻音は/ŋ/、
「ton」は「턴=/tʰon/」で音節末鼻音は/n/というように
英語と同様になります。

音節末鼻音は、
日本語教師なら区別できるようにしておきたいものです。
韓国語の文字「ハングル」を見たときに、
文字の下が「ㅇ」ならば音節末鼻音の/ŋ/、
文字の下が「ㄴ」ならば音節末鼻音の/n/、
文字の下が「ㅁ」ならば音節末鼻音の/m/、
(変音規則によって他の文字もありますが)
となることを知っておくと、
調音点を意識する練習になるかもしれません。