カーリングの掛け声「ヤッ(プ)」を聞いていると「内破音」が気になってしまう

山田です。
冬季オリンピックは「カーリング」をよく見ていたのですが、
試合中、「ヤッ(プ)」「ヤ〜ッ(プ)」という掛け声をよく聞きますよね。

これは「ブラシでこすれ(スイープせよ)」という
指示を表すのだそうですが、もともとは英語の
「 yes 」のくだけた言い方「 yup 」から来ているそうです。

さて、その「 yup 」の
発音 [ jʌp ](ヤ行子音は音声記号 [ j ]です)の
音節末の[ p ]ですが、
多くの場合、息を出して発音しているわけではなく、
唇で息を止める感じだと思います。
このような発音を音声学では「内破音」と言います。
国際音声記号(IPA)では、
子音にカギカッコのような記号[  ̚  ]を付けて表します。

英語では必ずそのようになるではなく、
自由異音のようなものかもしれませんが、
多くの東南アジアの言語では、
この内破音が特徴的な発音としてあり、
日本語母語話者は、
慣れるのにちょっと苦労するかもしれません。

ただし、日本語の促音「っ」は
これと似たことをやっているんですけど、
「っ」で息を溜めてほんの少しその状態を持続させ、
そのあとで開放(破裂)して次の音が続く点が違います。

カーリングでも、
連呼すると「ヤ〜ッ(プ)ピャ〜ッ(プ)」のように、
次の音節で[ p ]の破裂音が出ていました。

他に日本語で、息を止めたまま終わるというのは、
驚いたときの「あっ!」とか「え!?」のような言い方のときに、
声門閉鎖音として現れるぐらいです(語頭で稀に「っあ」なども)。

テレビでカーリングの真似をしてあの掛け声を言っているのを聞くと、
「ヤップ、ヤップ」と「プ」をしっかり発音している人もいれば、
音を止めて「ヤッ(プ)」と言っている人もいます
(わかりやすく表記するために(プ)としてみました)。

音声学の授業では、
いろいろと特殊な音も扱うのですが、
内破音の例に「ヤッ(プ)」はぴったりかなと思いましたが、
冬のオリンピックの時期以外では、
忘れられてしまうかもしれません。
もっともっとカーリングがメジャーなスポーツに
なることを願っています。