山田です。
中学校の地理の勉強では、
東西に遠く離れた2地点間でのまっすぐな最短ルートが、
メルカトル図法で見ると曲線になってしまうことを学びます。
私は外国人の子どもの学習支援をしているのですが、
そういうことを子どもが分かりやすく確認できるサイトが
あったらいいな…と探していました。
で、見つけたのが、沼津高専(沼津工業高等専門学校)の地図サイト
「地理@沼津高専 ウェブ地図」です。
https://user.numazu-ct.ac.jp/~tsato/webmap/
■ トップーページ
サイトのトップページは質素なテキストだけの画面です。
画面を下の方にスクロールさせると、
「球面状の世界とメルカトル図法の地図」という見出しがあります。
この中の、「ウェブ地図で大圏航路を表示する Leaflet&CesiumJS版…」をクリックします。
初めの画面はこんな感じです。
左側が地球儀のような正射図法、右側がメルカトル図法です。
※上記のサイトでは、次の地図サービスを利用して作られています。
国土地理院の地理院タイル:http://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
Leaflet:https://leafletjs.com/
CeciumJS版:https://cesium.com/
■ 2地点を設定
メルカトル図法の画面の印を移動させて、
測りたい2つの地点を設定します。
日本にある地点は、成田空港になっていました。
画面右上の初期設定の表示では地図が「地理院淡色地図」になっていますが、
空港の位置を確認するには、「OpenStreetMap」に切り替えるといいです。
ここではとりあえず、もう一つの地点を
ニューヨークのJ.F.ケネディー国際空港にしてみました。
■ メルカトル図法で確認
右の地図を淡色地図に戻して、
2地点が映るように表示範囲を調整しました。
画面右上の設定ウインドウでチェック印を入れると、
2つの航路を表示できます。
紫の線は、実際の最短ルートで「大圏航路」といい、
緑の線は、メルカトル図法上での直線で「等角航路」といいます。
メルカトル図法だと、最短ルートがこんなだとは信じられませんよね。
でも、画面右には、それぞれのルートの距離も表示できて、
最短の大圏航路だと1万830km、
直線に見える等角航路だと1万2,745kmと、
1,900kmほどの差があることがわかります。
■ 2つの図法で比較
左右2つの図法で比べてみます。
地球儀上で最短ルートを真上から見るのはボタンひとつでできますが、
大圏航路がまっすぐだと、ちょっとわかりにくいかもしれません。
そこで、このくらいの角度から見るとどうでしょうか(下の画像)。
地球儀を画面上で動かしながらやると、
もっと分かりやすくなります。
■ いろいろな2地点で比較
他の地点を設定して、いろいろな最短ルートを見てみましょう。
▼ 成田〜パリ
成田からフランスのパリへ行くには、
どんなルートが最短でしょうか。
パリは、シャルル・ド・ゴール国際空港です。
最短だと、ロシア上空を通って北極海にも少し出ています。
▼ 成田〜サンパウロ
日本から地球のほぼ裏側、ブラジルのサンパウロまではどうでしょう。
サンパウロは、グアルーリョス国際空港です。
思いっきり北回りで信じられないかもしれませんが、
これが最短のようです。
ちなみに、地球の裏側の地域はちょっとの位置の違いで、
大圏航路がずいぶん変わってきます。
▼ 成田〜ブエノスアイレス
南米の中でも南の国アルゼンチン、
首都ブエノスアイレス(エセイサ国際空港)だと、
大圏航路は等角航路に近い緩やかなS字を描きます。
▼ 成田〜メルボルン
経度の差が小さいと大圏航路と等角航路の違いが少なくなります。
オーストラリアのメルボルン(メルボルン空港)は、
大圏航路もまっすぐに近い線になりました。
他にもいろいろな地点で試してみてください。
高校入試にもこういったことに関する問題が出るかもしれません。
でも、まずは子どもたちが不思議なことに興味を持って
学んでくれたらいいですね。